話題は追っているが、いま何が論点なの?――「論点の地図」は、その月のニュースレターの内容を見取り図として整理する保存版です。主要な論点/構図/経緯/いま注目する点などをコンパクトに押さえます。必要なときに戻ってご参照できます。(編集部)  ※今号は途中から有料です。


目次

【1】3月記事の核心
【2】3月の記事(3本)
【3】3月の要旨
【4】主要な論点
 論点① 戦争はいかに正当化されるのか——「先制的自衛」の危うさ
 論点② 「民主化のための侵略」は正当化されない――外からの体制転換
 論点③ 米国中東政策の本質――「民主化」ではなく「親米化」
 論点④ 憲法9条は抑止ではなく、無統制を生む――日本の関与の「見えない化」
【5】構図
【6】経緯
【7】注目
【8】用語


【1】3月記事の核心

先制的自衛 × 民主化支援 × 9条制約——この三つの「正当化言説」が連動すると、侵略は正当化され、戦争の拡張と無責任な加担が不可視化される。


【2】3月の記事(3本)

[2026/3/10]イラン侵攻論(1)―「先制的自衛」論の嘘
☝🏼国連憲章は「武力攻撃が現実に発生した場合」にのみ自衛権を認める。攻撃の「可能性」を理由とする先制攻撃は、国際法上の根拠を持たず、戦争を無制限化させる危険な概念である。

イラン侵攻論(1)「先制的自衛」論の嘘――イランの核開発能力を米国は潰滅させたはずではなかったのか
今回の配信記事では、高市解散総選挙の問題の教訓を受けて、現代日本において政権交代を阻害している制度的条件の問題を考察する予定でした。しかし、またもや予定を変えざるを得ない「トランプ爆弾」が炸裂しました。 2月末に始まった米国とイスラエルによるイラン侵攻です。国際社会における法の支配は既に瀕死状態にあるのに、これに止めを刺すかのような蛮行です。今後の展開は予測困難ですが、現時点で法哲学者として言えること、言うべきことだけは言わざるをえません。 政権交代の制度的障害をめぐる高市解散論(4)は少し繰り延べし、イラン侵攻問題について最低限のことだけ、先に論じることにします。 ※今号は途中から有料です。 目次 * 新たな湾岸戦争が始まった * 「先制的自衛」概念の危険性・欺瞞性 * 「限定的な先制的自衛容認論」の二条件 * 「米国へのイランの核攻撃に対する先制的自衛」論の嘘 新たな湾岸戦争が始まった 2月末に米国トランプ政権は、イスラエルと合同して、イランの最高指導者ハメネイ師を含む政府・軍の幹部を殺害する「馘首(かくしゅ)作戦」を実行しました。メディアではいまこれを「斬

 [2026/3/21]イラン侵攻論(2)―「体制転換支援」論の嘘
☝🏼「民主化のための侵略」は国際法上正当化されないだけでなく、実際には米国の中東政策は一貫して「親米化」を目的としており、むしろ専制体制の強化を招いてきた。

イラン侵攻論(2)「体制転換支援」論の嘘――イランの民主化を潰し、専制化を促進してきた米国中東政策の欺瞞
前回(3月10日)配信記事、でイラン侵攻を正当化する米国の二つの口実のうち、先制的自衛論を批判しましたが、今回は神権的専制から民主制へのイランの「体制転換」を支援するという主張を検討します。 ※今回、途中から有料記事になります。 目次 * 「体制の民主化」は侵略を正当化できない * 米国の介入動機は専制体制の民主化ではなく、反米体制の除去にある * イランを神権専制国家にしたイラン革命はなぜ起こったか * 三つの湾岸戦争への米国の恣意的介入が強化したイランの神権体制 「体制の民主化」は侵略を正当化できない 本年1月7日に配信したヴェネズエラ侵攻に関する一回目の記事で詳述したように、現在確立している国際法と戦争正義論の基本原則によるならば、「悪しき体制の打倒」のための侵略を承認する「積極的正戦論」は否定され、正当な戦争原因は基本的に自衛に限定されています。イランの体制を民主化するというのが、仮に米国の真意だったとしても、それは悪しき専制政体に対する軍事侵攻を正当化できず、「開戦法規=戦争への正義(jus ad bellum)」に明らかに反する違法・不正な侵略です。

[2026/3/30]イラン侵攻論(3)―「憲法9条の制約」論の嘘
☝🏼9条は軍事協力を抑止しているのではなく、むしろ戦力統制規範の欠如により、自衛隊を無統制な軍事力にしている。さらに現実には、日本は既に米国の軍事行動に加担している。

イラン侵攻論(3)「憲法9条の制約」論の嘘――日本は米国のイラン侵攻に既に加担している
高市首相が訪米し、中東情勢に関しトランプと会談して帰国しました。イラン侵攻への日本の協力に関し、高市首相は、「自衛隊派遣には憲法9条の制約がある」とトランプに伝え、「トランプ氏は日本の説明に一定の理解を示した」と、朝日新聞は本年3月23日(月)付けの紙面の第一面で報道しています。これに沿って、メディアでは「憲法9条が米国のイラン侵攻軍事協力要請を抑えるカードとして効いている。9条があってよかった」などという9条礼賛言説が台頭しています。前2回の配信(3月10日、21日)で米国の嘘を暴きましたが、今回はこの「憲法9条の制約」論という日本の嘘を暴きます。 ※今回途中から有料記事になります。 目次 * 法理の検証:「9条があってよかった」どころか、9条が日本を無法な軍事国家にしている * 事実の検証:米国の圧力に対し「憲法9条が効いている」というのは本当か? * 日本は法律上、米国に軍事協力できるし、事実として既にしてしまっている 法理の検証:「9条があってよかった」どころか、9条が日本を無法な軍事国家にしている 上記の朝日新聞が出た同じ日に、テレビ朝日の「羽鳥慎一モーニン

【1】3月の要旨

2026年2月末に開始された米国・イスラエルによるイラン侵攻は、単なる地域紛争ではなく、国際法秩序そのものを揺るがす出来事である。本連載が明らかにするのは、この侵攻が複数の「正当化言説」によって支えられているという構造だ。

第一に「先制的自衛」。イランの核開発を理由に攻撃を正当化する論理は、国連憲章の文言に反し、「自衛」の名目で侵略を許す危険な拡張解釈である。