コロナ禍のオンライン化が「授業の届け方(手段)」の変更だったのに対し、生成AIは学び方や評価の前提(ルール)そのものを揺さぶります。批判的思考や創造性など、これまで重視されてきた汎用的能力さえAIが一部代替し得るいま、大学教育は評価・課題設計・教授法の再設計を迫られています。今回は、その影響を左右する主要論点を5つの観点から整理します。
目次
- コロナ禍から生成AI時代へ
- 21世紀型スキルへの挑戦
- 大学教育への影響を左右する5つの要因
コロナ禍から生成AI時代へ
コロナ禍では、授業の実施方法は大きく変わりましたが、教育の目的や到達目標は基本的にそのままでした。対面からオンラインに環境を移しても、「授業を行い、学びを成立させる」という使命は不変で、対応の方向性も比較的明確でした。
しかし生成AIは、教育における前提条件を変えてしまいます。授業や文献資料などの理解や要約・宿題への対応やレポートの作成・アイデア出しなど、これまで「学習者が時間と労力をかけて身につける」と考えられてきた能力やその能力を駆使して取り組むべきタスクを、AIが高いレベルで支援・代行できるようになったからです。その結果、学習プロセスと評価のあり方を抜本的に考え直す必要が生じています。
21世紀型スキルへの挑戦
これまで初等教育から高等教育に至るまで、批判的思考力・創造力・コミュニケーション力などの「ジェネリックスキル(汎用的能力)」の育成は、重要な教育目標として扱われてきました。
ところが生成AIは、あたかもこれらの能力を用いたようなアウトプットを生み出せる技術として登場しました。もちろん、人間の学びが不要になるわけではありません。しかし、「そのスキルをどう身につけさせ、何をもって修得したとみなすのか」「学習者がAIの助けを借りて成果物が生み出された場合、学習者自身のスキルや能力向上をどのように評価するのか」という根本的な問いが今突きつけられています。