2025年3月のトランプvsゼレンスキー会談はなぜ決裂したのか。ヴァンス副大統領の事実誤認発言に対してゼレンスキーが冷静に反論すると、トランプが突然逆上。会談全体の検証から浮かび上がるのは、ロシアとの外交交渉の困難さを理解しないトランプ政権の無知と、それを指摘されて激怒する暴君の姿です。第1回「卑屈な従者が暴君を生む」につづく2回目の配信(全3回)。※今回、途中から有料となります。


目次

  • トランプとヴァンスの無知と逆切れ
  • トランプの支離滅裂な論理
  • 「トランプ花火」の暴発
  • 無知を暴かれた暴君の実態

トランプとヴァンスの無知と逆切れ

会談が荒れたきっかけは、ヴァンス副大統領が、出しゃばって発言し、トランプの意を酌むかのように、ゼレンスキーに対し、「ウクライナは外交努力をさぼっている、外交で解決しろ」と偉そうに言ったことである。

これに対して、ゼレンスキーは、「ロシアとは2022年の侵攻よりも前、2014年のクリミア併合のときから、ウクライナは停戦交渉を続けてきて、何度も停戦協定をロシアと結んだが、ことごとくロシアによって破棄されてきた」という事実を述べて応答した。

ウクライナが外交的解決の努力をしてこなかったとか、プーチンとの外交的解決がその気になれば簡単にできるはずだとかという、ヴァンスとトランプの主張は事実に反していることを冷静に指摘したわけである。

そうすると、トランプが逆切れして、「ウクライナにはカードがない、カードがないんだから、ウクライナを支援している我々に口答えするな」とか言いだし、さらに「アメリカに対して、ウクライナは感謝が足りない」などと文句を言いだした。

トランプの支離滅裂な論理

トランプのこの反応は支離滅裂である。ウクライナにロシアとの外交的交渉で使えるカードが無いと主張するのならば、ウクライナに外交努力しろというトランプたちの要求は不可能なものになってしまい、ロシアとの外交交渉は、対ロシアカードをもっている米国に任せろと要求していることになる。

となると、「私が大統領になったら24時間でウクライナ戦争を終わらせる」と豪語しながら、就任して1ヵ月以上たっても外交交渉で停戦を実現できない責任は、ゼレンスキーではなくトランプにあることになる。

この会談の前半でも、トランプ自身が、"Deal, Deal"といいながら、「私は天然資源取引など経済的取引をめぐる交渉に主たる関心があり、安全保障(security)については2%くらいしか比重を置いていない。安全保障問題なんか簡単だからだ」と豪語していた。

先のゼレンスキーの指摘は、トランプにとって、自分の甘さを暴露されたことになり、頭にきたのであろう。